黒い枠のガラス戸で区切る

部屋を区切る扉をガラス扉にするのが人気ですね。ガラスにすることで目線が向こう側の部屋まで抜けて広がりが感じられます。
完全に別の空間にしてしまうのではなく、扉の向こう側の気配を感じさせ、雰囲気のつながりをもたせつつ、機能的には区切っておくという、開放性を持たせた間仕切りかたです。

SOHOまたはブルックリンとも呼ばれるインダストリアルスタイルの流れを汲み、倉庫を改装して住んでいるようなハードで男性的なイメージのスタイルから、黒いスチールのフレームでガラス戸を作るのが流行りです。

廊下と区切る


通路と部屋を区切り、リビングの入り口になるところに付けられたガラス扉。向こう側が見えない扉を開くのは多少の緊張感を伴いますが、向こう側が見えていることで入りやすい部屋の印象になります。
クラシックな額縁の付いたドア枠ですが、巾木の部分を枠と合わせて黒く引き締めていて程よくモダンなテイストが組み合わせられています。


通路の突き当たりにあるガラスドア。
廊下の途中にある扉がオーソドックスな額縁の付いた枠の白い扉であるのに対し、極力枠を小さくした開放的なガラス戸を対比的に配置していて、自然と奥の部屋に引き込まれるような構成になっています。
白い空間をベースに、黒のエレメントを取り入れた現代的なモノトーンの配色です。


こちらも廊下の突き当たりにあるガラス戸。
天井まで目一杯高さを取って、スチールの黒い枠も限りなく細く、さらに床の色を壁に近づけたりして、できるだけ構成要素を減らしてすっきりとまとめています。
装飾を排したミニマリズム的な空間ですが、必ずしも必要ではないガラス扉を装飾的に配置しています。
引き算のデザインの中にも飾りの要素があるということは忘れてはいけないポイントです。


ガラスだけをヒンジで吊り下げたとてもモダンなドア。オフィスのような無機質でシャープな印象を作り出しています。
こういったドアはそこにドアが存在しないかのような軽やかなイメージを作り出すのですが、そこにあえて少し太めに格子状に枠を組むことで、奥の部屋を額縁で切り取ったかのように見せています。
どういう枠組みから部屋を見せていくかというのは演出として重要な考え方だと思います。


部屋の演出という点では明暗のバランスというのも意識しておきたいことの一つです。
日中の、電灯をつけない廊下に対して採光を取るためにガラス戸が用いられることも多いですね。
暗い側から見ると、明るい場所というのは意識が引き込まれる感じになり、自然とそちらへと足が向かう誘導の効果があります。
また、暗い場所から明るい部屋を見ると、実際よりもさらに明るく輝くような印象を受けます。つまり、部屋が綺麗に見えます。
この写真の扉にも細い格子があしらわれています。格子越しに見る部屋は、素通しで見せるのとはまた違った印象を与えてくれます。

部屋と部屋とを区切る


リビングダイニングはひとつながりの部屋として計画されることが多い場所ですが機能としては別の用途の空間です。
ここを区切ることで、メリハリのついた見せ方、使い方ができます。広がりを感じたい場所なので扉で完全に区切ってしまうよりはガラス戸のように向こう側との一体感がある間仕切りの方が好ましいですね。とかく広さを求めがちなリビング周りですがアクセントを兼ねて、パーティション代わりにガラス戸で区切るのも素敵です。

ダイニングから見たリビングを区切ったガラスドア。リビングの奥には同じく黒いフレームの窓があります。リビングとダイニングをあえて簡単に行き来できるように区切ることで、外に面している窓にも同じ印象を持たせています。
窓とガラスドアに連続した印象を与えて、外との区切りにも部屋の延長のような感覚を持たせる演出です。
外部との境界をこういう演出によって曖昧にし、連続性を持たせたつくりにすると住まい全体が広々として見え、開放的な空間になります。

個室を区切る


特に、小さな家にお勧めしたいのが個室を壁で隔てずにガラス戸を設けて区切らずに間仕切るやり方です。限られた空間の中で個室を最小限のスペースでとったとしても、ガラス戸で区切るのであれば圧迫感を感じさせずに部屋を成り立たせる事ができます。小さく区切って、開放的にする事で残りの空間を広くする事ができるのです。


部屋の中にガラスの箱があるような小さなベッドスペースです。手前がリビングダイニングで、隣がキッチンという、ワンルームのような住まいですね。ベッドよりもふた回りほど大きいくらいの小さなスペースを区切って、ベッドルームとしています。個室としては狭すぎる空間でも、開放的なガラスの仕切りなら充分に実用的です。


ベッドルームをガラスで区切りつつ、必要に応じてカーテンも閉められるようになっています。
目線を通したり、隠したりと必要に応じて使い分けができるようになっています。
スチールの枠は、わざと少し腐食したような仕上がりにしてラフな雰囲気にしています。


廊下の突き当たりを区切って部屋にしたような、小さなスペースです。
これだけでもガラス扉を設置する事でちゃんと部屋として機能しますね。
なぜだか不思議と落ち着きそうな、魅力的な空間です。


少し太めの枠でしっかりと区切った感じのガラス扉です。照明器具や家具にも黒を合わせ、グレーがかった壁の色と相まってマニッシュな雰囲気に作り上げています。
ナチュラルなテーブルの天板に、観葉植物を合わせて黒っぽくまとめた空間が暗くなりすぎないようにバランスを取っているのだと思います。


屋根裏部屋のような、勾配のある天井の形に合わせて奥の方を仕切って寝室にしています。
真四角ではない部屋の形をガラスの黒い枠が強調していて、見た目にも面白いアクセントになっています。
純白に近い、シャープな印象の壁のペイントの色に、ちょっと粗めのフローリングを合わせて、素材感の対比を作っているところに、ガラス戸の枠の黒で全体を引き締めた、現在のトレンドをうまく取り入れたコーディネートですね。


ややグレイッシュな白と、線の細い照明やガラス枠の黒だけで構成された、色彩的には抑制の効いたコーディネートです。白い空間に対して細い黒のラインで縦横に区切りの線を引いたかのような、構成的なデザインの版画のような空間づくりです。


ベッドの側面側が空いている寝室です。寝ている姿が横から見えるというのは落ち着かないものなので、カーテンが閉められるようになっていますね。
反対側の壁には窓があるので、昼間は開ければ開放的、就寝時に閉じれば程よく狭くて落ち着く空間になっている事でしょう。このくらいの広さでは完全に壁に囲まれてしまうと閉塞感があるのでガラスで間仕切りをするというのは良い方法だと思います。マンションの間取りでは出来やすい広さの部屋なので、リフォームなどを計画する際には参考になるかと思います。

黒い枠のガラス扉はオフィスのようでもあり、ファクトリーのようでもあり、インダストリアルなスタイルを表現するには適したエレメントです。
シャープで少しハードな印象になりますが、どこか懐かしくレトロな感じもあるので意外と住宅の中にあっても溶け込んで見えますね。
今が旬のデザインという側面もあるのですが、コンパクトに暮らすための住空間には視界を開きつつ閉じるといった手法は有効なので、一過性のものではない定番のデザインテクニックとして定着していきそうな感じがします。



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